院長のコラム

“ドクトル・イトウの地球の果てまで“ 世界60ヶ国以上を訪れた、院長のちょっと変わった見聞録

第20回 いざ カブールへ2(アフガニスタン):戦禍の街2

 世界で危険な国は?というと、イラクやアフガニスタンと答える人が多いと思う。どちらの国もイスラム過激派が活動し、連日自爆テロなどのニュースが報道され、治安が悪い国であることには違いないのだが、この2つの国の背景は根本的に異なる。
 イラクは産油国で豊かな国、サダム・フセイン政権が崩壊するまでは繁栄していた国で、現在はテロで混乱はしているが、社会インフラは整った国だ。一方のアフガニスタンは元々貧しい内陸国で、数十年に及ぶ内戦で国土は疲弊している。壊れた上から潰されているといった感じだ。インフラ自体が全くないと言って過言ではない。
 自分もいろんな国を見てきたが、事務所の机上に電話機のない国はアフガニスタンが始めてであった。つまり首都のカブールでさえ公衆電話回線そのものが整備されていないのだ(2003年当時)。手っ取り早く通信網を作るために、先に携帯電話が拡がったのだが、これが本当に使えず、大事なときには繋がらない。カブール市内にある事務所から同じ市内にある病院へ緊急時に連絡するのに、馬鹿高い衛星通信を使用せざるを得ない状況であった。
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 街から少し郊外に出るとこういった風景が普通になってくる。
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 破壊された建物がそのまま放置されている。
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 いつ破壊されたものなのだろうか、
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 廃墟にテントを張って店を出している。
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 恐らくかなり以前に破壊されたものだと思うが、それを建て替え、復旧するというような光景はあまり見ることが出来なかったし、何せそのままなのである。街が破壊された時のまま、時間が止まっているのである。こんな光景ははじめてだ。
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 これは映画館であった建物。以前はこういった娯楽を楽しむこともできたのであろう。
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 ぐっしゃりと壊れてしまっているが、
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 ここも廃墟を利用して自転車屋になっている。何ともたくましい生活力だ。
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  同じように、ボスニア紛争の戦火に見舞われたボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボという街を見た。街のあちこちに戦火の傷跡が残っており、オリンピック会場は墓場となり、建物の壁には銃弾の跡を修復した跡があちこちで見られたが、街は着実に復興していた。それに比べこの街は止まっている。
(サラエボについては改めて紹介する。)
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 少し遠乗りをすると、このような雄大な景色を見ることができる。
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 ところが、あたりには危険な場所が未だにいっぱい残っている。写真の赤い印は"ドクロマーク"。つまり一歩先は地雷原なのだ。
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 使用されなくたった戦車も野ざらしに放置されたままだ。
政情不安と治安の悪さがこの国を国際社会の支援から遠ざけている。

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