院長のコラム | 2014年3月

“ドクトル・イトウの地球の果てまで“ 世界60ヶ国以上を訪れた、院長のちょっと変わった見聞録

第100回 ロシア探訪その1:ロシア帝国の宝箱 サンクトペテルブルグ

「ドクトル・イトウの地球の果てまで」も、とうとう100回目を迎えた。クリニックの開院と同時に始めて、足かけ3年4ヶ月だ。最近では、「先生、ブログ読みましたよ!」と声を掛けて下さる方もいて、嬉しい限りである。まだまだ書きたい事は残っているので、もうしばらくお付き合い願いたい。
中南米編へ戻る前に、もう少しヨーロッパを寄り道して、ロシアを紹介しようと思う。
ソチ・オリンピックで沸いたロシアだが、旅行で行くにはビザが必要であったり、他の西欧諸国を旅するようにはなかなかいかないことも多い。今回はロシアの古都、サンクトペテルブルグを紹介する。
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サンクトペテルブルグはネヴァ川の河口に、帝政ロシアのピョートル大帝によって1703年に築かれた人工都市である。ロシア帝国の首都であり、ソ連時代はレニングラードと呼ばれた。
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街には運河が発達しており、街並みは西欧風だが、教会などはロシア独特だ。
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地下鉄も整備された大都市だが、未だに懐かしいトロリーバスが走っており、共産圏らしい雰囲気だ。
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旧海軍省の建物
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川には船が行き来して、ここが港湾都市であることがわかる。最近は日本企業が進出していて、トヨタ、日産、スズキが大規模な自動車工場を稼働させている。
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港町独特の雰囲気が漂う。
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対岸に見えるのは、ペトロパヴロフスク要塞だ。歴史上、この地はスエーデンが支配していた時期があり、ロシア帝国がスエーデンから奪い返したこの地を防衛するために造った要塞だ。
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川縁は市民の憩いの場所になっている。
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モスクワ・オリンピックのマスコットは子グマの「ミーシャ」であった。子グマが見世物になっているところが、ロシアらしい。チップを払えば抱かせてくれる。
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西欧風の落ち着いた街並み。ソ連時代の無機質な建物とは雰囲気が異なる。
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広告に混じって、政治的なスローガンが掲げられている。
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今ではアメリカ文化の象徴であるマクドナルドも、当たり前のようにある。
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「ソ連」をイメージするような軍服を着たおじさん。
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郊外にでると、「ソ連」らしい、無機質で無表情な団地がならんでいる。
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終わること無く、延々と続いていく貨物列車。
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では、街の名所を紹介していきたい。まずは何と言っても、世界三大美術館の一つ、エルミタージュ美術館だ。
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ネヴァ側に面して建つ、美しく堂々とした建物だ。
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元々は、女帝エカテリーナ二世の、自ら買い集めた美術品の展示室であったらしい。現在のエルミタージュ美術館は王宮であった冬宮と三つの離宮、劇場から成る。
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冬宮は美術館というより、宮殿そのもの。有名な「大使の階段」
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紋章の間
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謁見の間
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「1812年戦争の画廊」と呼ばれる通路で、両脇に1812年戦争の将軍の肖像画がかけられている。
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通路も重厚感がある。
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エルミタージュ美術館の裏側は広場になっており、宮殿広場と呼ばれている。中央にはナポレオン戦争の勝利を記念して造られた、高さ47.5mのアレクサンドルの円柱がそびえている。
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エルミタージュ美術館の反対側には旧参謀本部の建物とアーチが広場を囲むように建っている。
日露戦争の時に起こった、「血の日曜日事件 (1905年)」が起こった広場としても有名だ。
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アーチから広場を望む。

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第101回 ロシア探訪その2:ロシア帝国の宝箱 サンクトペテルブルグ

今回は、ロシア料理から。
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サンクトペテルブルグのレストランが発祥ともいわれている、「キエフ・チキン」。キエフ風カツレツなどとも呼ばれ、チキンカツの中にたっぷりのガーリックバターが入って、切ると中からバターが流れ出てくる。キエフとは、今混乱しているウクライナの首都の名前。でもウクライナ料理ではないようだ。
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もう一つ、ロシアの代表的な料理、ビーフ・ストロガノフ。細切り牛肉の野菜炒めにサワークリームを合わせた料理で、ストロガノフ伯爵家の名前が起源と言われている。
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なにげに停まっていた、「動く公衆トイレ」。これはけっこう珍しい。
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ロシア正教の教会、聖イサク大聖堂。金色のドームが美しい。
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ピョートル大帝像と聖イサク大聖堂
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イサク広場から並木越しに眺めた聖イサク大聖堂。
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中に入ってみると、その重厚感と荘厳さに圧倒される。
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今までいろんな教会を見てきたが、この教会は特に美しい教会だった。
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局面を多く取り入れて、壁画と模様のなすコントラストが美しい。
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特に、内側から眺めたドームはすばらしい。
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ライトアップされた大聖堂
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では、サンクトペテルブルグ観光の目玉、エカテリーナ宮殿を紹介する。
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その名の通り、ピョートル大帝の后であったエカテリーナ1世に由来した、ロココ調の宮殿で、サンクトペテルブルグ郊外にある。ベルサイユ宮殿を模して造られたなどと言われている。
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舞踏会が開かれていた大広間
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何から何までキンキラキン。
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立派なデルフト焼き(オランダ)の暖炉。これだけで美術品だ。
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壁のレリーフが美しい。
でも、エカテリーナ宮殿を見学していて、なんか違和感を覚えたのは自分だけだろうか。なんかどこかで見たような。。。というものが多い。つまり、西欧の建築様式、美術品、調度品を金に飽かせて集めたという感じで、ロシアらしさというか、何かオリジナリティーを感じなかった。
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有名な「琥珀の間」
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壁が全て、琥珀でできている。
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第二次世界大戦中、琥珀がドイツ軍に持ち去られ、琥珀の間は失われていたが、2003年に復元されたそうだ。
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市内に戻って、周囲とは変わった雰囲気の教会、「血の上の救世主教会(スパース・ナ・クラヴィー教会)」を紹介する。
変わった雰囲気と言うよりも、むしろロシアらしい雰囲気がする教会といった方がいいかもしれない。逆に、他の建築物が西欧の模倣で、むしろロシアらしくない様な感じがする。
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この教会は暗殺された皇帝、アレクサンドル2世を弔うために建てられたそうだ。
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見る方向によっていろんな見え方のする、本当におもしろい建築だ。
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ロシア革命によってソ連となってからは、教会は閉鎖され、第二次世界大戦中は野菜倉庫として使われたそうだ。教会自体も数奇な歴史を歩んでいる。

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