院長のコラム | ノルウェー

“ドクトル・イトウの地球の果てまで“ 世界60ヶ国以上を訪れた、院長のちょっと変わった見聞録

第16回 絶景!プレーケストーレン(ノルウェー):リーセフィヨルド

 一旦ポーランドから話題はそれて、このあたりでドクトル・イチオシの絶景をひとつ紹介する。
LOTポーランド航空を利用して出張中のある日、機内誌の表紙に目を奪われた。なんじゃこれは!! それはノルウェーにある、プレーケストーレン(Prekestolen)というフィヨルドに突き出た断崖絶壁の写真であった。
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 色々調べてみると、凄い景色のわりに一般の観光コースには入っておらず、あまり知られていない。この断崖絶壁を見に行くには、スタヴァンゲルという街に最低2泊はしなくてはいけないと言うことがわかった。なかなかアクセスが大変そうだが、何とか行けそうだ。
 ノルウェーのフィヨルドはソグネ、ガイランゲル、リーセなどが有名で、船から、山からなど、それぞれいろんなアプローチの仕方がある。最も有名なのは、山岳鉄道やフェリーを組み合わせてソグネ・フィヨルドを観光するナットシェルと呼ばれるコースであるが、フィヨルドの景色としては残念ながらこれが一番劣るように思う。概してそんなものだ。
 フィヨルドの圧倒的な美しさを味わうのであれば、このプレーケストーレンから眺めるリーセフィヨルドと次回に紹介する雄大なガイランゲルフィヨルドが何とも素晴らしい。特にこのプレーケストーレンはこれだけを見に行っても十分に価値のある絶景だ。
 北欧というと日本からは遠いイメージがあると思うが、実は航路的には一番近いヨーロッパなのだ。FINNAIRやスカンジナビア航空で北欧の主要都市から乗り継ぐことも可能だし、他のヨーロッパ主要都市から直接スタヴァンゲルへ乗り継ぐこともできる。
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 スタヴァンゲルの美しい港。
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 プレーケストーレンは5月から9月頃の限られたシーズンしか観光することはできない。
まずは、スタヴァンゲルの港からフェリーに乗ること30分ほどで対岸のタウの港へ渡る。 
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 そこからローカルバスで40分ほどでその麓まで行く。バスの本数は少なく、人気も少ない。
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 それから2時間半、山道を登らなくてはならない。自分が行ったのは5月初旬の、正式にはまだ山開きをする前で、山道には雪がかなり残っており、途中急な山道もあって、当時8歳の下の娘には結構苛酷な行程であった。
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 まだ氷がはっている。
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 最初は緩やかな登山道を上っていく。徐々に気温が下がり、雪道となる。
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 途中で一休み。ふと後ろを振り返るとフィヨルドの景色が広がる。
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 後半は結構きつい道のりが続く、満足げに下山してくる人達を頼りに、ただただ黙々と上っていく。少し先から歓声が上がった。ゴールは近いらしい。
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 そして登り切った後、こんな絶景が顔を出した。これがフィヨルドというものなんだと改めて認識した。
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 その直ぐそばに、お目当てのプレーケストーレンがあった。
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 フィヨルドに突き出た断崖絶壁で600メートルの高さがあるそうだ。
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 周りに柵など何も無いというのには本当に驚かされる。自分は高所恐怖症なので、なかなか近づくことが出来ないのだが、このプレーケストーレンの上で皆、様々な行動を取る。
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 今にも飛び降りそうな人、
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 なにげに足を投げ出して座る人。
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 腹ばいで下をのぞく人。etc...
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 我が家族も平気で腰を掛けている。自分には絶対出来ない芸当で、DNAの進化を感じる
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 このプレーケストーレンからみたリーセフィヨルドの景色はこの旅で一番の景色であった。
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 最後に勇気を振り絞って、夫婦で一枚。
 そんなこんなで、ここで1時間ほどを過ごして下山する。雪の残る山道の下山は結構大変であった。この様にプレーケストーレンの観光には丸一日を要し、最低でも2泊が必要になる上に、登山が大変と言うこともあり、なかなか一般の観光コースには入ってこない。絶景とは概ねそんなところでしか見ることが出来ないように思う。本当にここだけを見に行っても価値のある景色だと思う。
 次回は船から雄大な景色を眺めるガイランゲルフィヨルドと、何とも可愛いオースレンの街を紹介する。

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第17回 静寂と豪快(ノルウェー):ガイランゲル・フィヨルド

 今回はもう一つの絶景、船から見るガイランゲル・フィヨルドを紹介する。
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 ベルゲンからスカンジナビア半島の沿岸を北上していく沿岸急行船に乗りこんだ。
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 観光船ではなく定期航路を行く地味な船なのだが、その割に船内のラウンジが、大きなガラス張りでパノラマビューになっており、船内から迫力あるフィヨルドの景色を楽しむ事が出来る。
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 フィヨルドの穏やかな海面を、船は静かに進んでいく。何が違うのか調べたわけでは無いが、同じようなクルーズでもこのガイランゲル・フィヨルドはソグネ・フィヨルドとはその迫力が全く違う。
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 残雪の山や滝が遠景から3Dで迫ってくる。雄大な眺めだ。
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 フィヨルドの中を通り過ぎるたびに陽のあたり方が変わるので、海も山も色や様相を変えていく。
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 中から見る景色とは異なり、船外に出ると風が強い。
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 時には写真のように風がぴたりと止む。
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 船が止まっているかのように静かな光景の中、海面に山の影が映り、景色だけがゆっくりと迫ってくる。この景色が一番ダイナミックだ。
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 マッターホルンのような山が見えた。山の裾野に街が見えてきた。
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 下船して今度はバスで移動する。山の上からフィヨルドを望む。
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 海面が光るフィヨルドの景色は特に美しい。
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 バスでオースレンの街へと向かう。途中、何とも素朴な村の教会を通り過ぎた。
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 高台からオースレンの街を見下ろす。フィヨルドの海に浮かぶ小島のような街だ。
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 街には運河がめぐり、その運河沿いにアールヌーヴォー様式の建物が並ぶ。
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 写真は夕方だが、陽のあたり方によって、様々な顔を見せてくれる。
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 見所の多い街では無いのだが、この街の姿そのものが一見の価値がある。山と海と運河とこのおしゃれな建物が調和した、なんだか住んでみたくなる、非常に心の安まる街並みだ。
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 最後に景色とは全然関係の無い話を一つ。ノルウェーに限らず北欧を旅していて気づいた事に、朝食のバターがある。通常、ホテルのビュッフェ型式の朝食では、小さなパックに入ったバターか紙に包まれたバターが置いてあるのが普通だが、北欧ではこれらが無くて、いわゆる家庭でも使うような大きめのパックのバター入れが置いてあり、必要なだけ取っていくと言うスタイルが普通のようだ。少なくとも自分が北欧を2度旅して、全てのホテルがそうであった。これには非常に感心した。これでいいんじゃないのか。なんでわざわざゴミが増える個別包装をする必要があるのだろうか。日頃あまり考えない素朴なことにすごく感心し、そういった独自のエコロジー精神を持っている北欧スピリットに感動した次第である。

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