大阪 城東区の内科、循環器内科クリニック。循環器疾患、生活習慣病の管理、花粉症などアレルギー疾患、禁煙外来対応。
“ドクトル・イトウの地球の果てまで“ 世界60ヶ国以上を訪れた、院長のちょっと変わった見聞録
2002年夏、灼熱の国スーダンからポーランドのワルシャワに異動した。東ヨーロッパの大国ポーランドで2006年までの4年間を家族と共に過ごした。我が家にとっては非常に思い出深い国。今回からはヨーロッパに舞台を移して、ポーランドの美しい風景と是非行って欲しいヨーロッパの「穴場」を紹介していく。
砂漠の街ハルツーム、赤茶けたスーダンからヨーロッパの都市に降り立つと、緑の多さに身体が驚く。大げさな言い方ではなく、むせ返ると言う表現がぴったり来る。
ワルシャワ、ポーランドの首都。ショパンが生まれた国、コペルニクスの国、ワルシャワ条約機構など歴史で名前を覚えた記憶がある。いったい何語を話すの?
ワルシャワに着いてさっそく向かったのがマクドナルド。スーダンにはマクドナルドなど、欧米のファーストフード店は皆無であったので、何故かハンバーガーが食べたくなった。そこでまず驚いた。
ポーランド語など全く話せない我々は、マクドナルドで写真を見てオーダーぐらいは出来るだろうと思っていたが甘かった。なんとワン、ツー、スリーが全く通じない!! ちなみにポーランド語ではイエデン、ドゥヴァ、チシッ。この国では英語がほとんど通じないということを痛感した。
まずは世界遺産のワルシャワ旧市街へ。
ポーランドの主要都市には必ずこのような旧市街がある。ではなぜこのワルシャワ旧市街が世界遺産なのか?
それは第二次世界大戦中、ドイツ軍によって完全に破壊され、その後に破壊前の姿に忠実に再建されたからであって、今の旧市街は所謂究極のコピーなのである。
地方都市の旧市街は住民の生活の一部として機能しているのだが、このワルシャワ旧市街はその歴史が物語るとおり、全く生活の匂いがせず、観光地としてのみ機能している。
一見の価値はあるのだが、普段にあまり行くことはなかった。
これは2006年当時のワルシャワの中心部。御覧のとおり、あまり美しいと言える街並みではない。
ただ、この国は非常に美しい四季の姿を持つ。確かに日本の四季の風景は美しい。芸術的と言って良いほど繊細な美しさだ。これと比べて、ポーランドの四季の美しさはダイナミックな美しさだ。
四季折々の美しい姿をこれから順次紹介していく。
自分の職場(日本大使館)の目と鼻の先にワジェンキ公園という大きな公園がある。
自分はこの公園が大好きで、昼休みにカメラ片手によく散歩に出かけた。
この なにげにリスが出てくるような公園だ。
この公園の奥にショパン像が置かれた広場がある。自分はクラシックとは全く無縁の男であるがこの場所が大好きで、四季の風景を撮り続けた。これは春の風景。緑がグングンと伸びてくる。
夏には一面にバラが咲き、
ショパン像の下で屋外ピアノコンサート(無料)が行われる。
ワルシャワの秋は「黄金の秋」と言われる。非常に美しい風景だ。ショパン像のバックも見事に色づく。
冬は白黒、モノトーンの世界となる。これがまた美しい。街の汚い部分を雪がすべて覆い隠してくれる。
日本がゴールデンウイークの頃、ポーランドでもイースター(復活祭)の休みがあり、本格的な春の訪れと共に季節は一気に初夏へ向かっていく。5月のワルシャワで非常に気にいった風景があった。不思議なことに、ワルシャワの住人にはあまり知られていない場所だった。
ワルシャワで有名な住宅地の一つであるヴィラノフ地区。その郊外に、ワルシャワでは恐らく唯一のゴルフ練習場、いわゆる"打ちっ放し"がある。
ネットなど無く、本当にオープンエアの打ちっ放しなのである。確か2004年頃に出来たものと記憶しているが、その当時、ゴルフはまだまだ外国人の娯楽で、日本人や韓国人がその大半の打席を占めていた。
そのすぐそばに、5月のこの時期だけ様相を変える畑があった。林の中を走る道路の脇にその景色はあり、木々で隠れているので、見ようと思わなければ通り過ぎてしまう。
ただ、一歩その世界に踏み込むと、辺り一面が真っ黄色の世界になる、菜の花畑だ。
晴れた日は特に美しい。
ポーランドでは何気ないこういった自然の景色が何ともすばらしい。四季折々に色んな風景を楽しませてくれる。
これからどんどん日が長くなり、太陽の季節がやってくる。
素人写真ではこの黄色のダイナミックさがなかなか伝わりにくいのだが、しばしご覧あれ。
徐々に日が長くなり太陽の光がまぶしくなってくる。5月のポーランドは一気に陽気な季節となる。太陽を待ちこがれていた人達は、裸で日光浴を楽しむ。
ポーランドでは良い思い出をたくさん作ってきたが、その中でもお気に入りの一つが初夏のカヤックだ。自分はアウトドアに詳しいわけではなく、ポーランド人の友人から是非行ってみろと勧められたのだ。
ワルシャワから北へ200kmほど行ったところにマズーリという湖水地方がある。ポーランドでは有名な夏の保養地で、その中の小さな村が今回紹介するクルティン(Krutyn)だ。ワルシャワからは車で3時間程度だったと思う。よく地図を見ていないと通り過ぎてしまうくらいの小さな村だ。
その村には森の中を流れる浅い川があり、そこをカヤックで下っていくのだ。浅く流れも穏やかなのだが、水は澄んでいて底がはっきりと見える。万が一転覆しても安全な深さで、カヤック初心者でも子供でも十分に楽しめる。
村には民宿が何軒もあり、そこでカヤック一式をレンタルでき、もちろん日帰りで楽しむことが出来る。午前中に出発し、半日カヤックを楽しんだ後、宿の主人に電話をかけると車で下流に迎えに来てくれるという仕組みになっている。
では、二人乗りカヤックでスタート。
前半は森の中を進む。灌木をよけながら、自分のペースでのんびりと進む。マイナスイオン満タンだ。
鳥のさえずりや牛の鳴き声だけが聞こえてくる。
緑の匂いがぷんぷんして、心も体も癒される。
かもの親子に出会うこともあるし、
時には野生の鹿が出てくることもある。
これはポーランドらしい風景で、真ん中の柱の上の籠はコウノトリの巣だ。ちなみにポーランド語でコウノトリのことを「ぼっちゃん」という。日本人にはなじみやすい名前だ。
後半は湿地帯の中を進んでいく。これも何とものどかな風景だ。
そろそろ終わりが見えてきた。3番目の橋のたもとが目印だ。
ワルシャワから日帰りで楽しめるリラックスタイム。ポーランドの自然は本当に素晴らしい。
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一旦ポーランドから話題はそれて、このあたりでドクトル・イチオシの絶景をひとつ紹介する。
LOTポーランド航空を利用して出張中のある日、機内誌の表紙に目を奪われた。なんじゃこれは!! それはノルウェーにある、プレーケストーレン(Prekestolen)というフィヨルドに突き出た断崖絶壁の写真であった。
色々調べてみると、凄い景色のわりに一般の観光コースには入っておらず、あまり知られていない。この断崖絶壁を見に行くには、スタヴァンゲルという街に最低2泊はしなくてはいけないと言うことがわかった。なかなかアクセスが大変そうだが、何とか行けそうだ。
ノルウェーのフィヨルドはソグネ、ガイランゲル、リーセなどが有名で、船から、山からなど、それぞれいろんなアプローチの仕方がある。最も有名なのは、山岳鉄道やフェリーを組み合わせてソグネ・フィヨルドを観光するナットシェルと呼ばれるコースであるが、フィヨルドの景色としては残念ながらこれが一番劣るように思う。概してそんなものだ。
フィヨルドの圧倒的な美しさを味わうのであれば、このプレーケストーレンから眺めるリーセフィヨルドと次回に紹介する雄大なガイランゲルフィヨルドが何とも素晴らしい。特にこのプレーケストーレンはこれだけを見に行っても十分に価値のある絶景だ。
北欧というと日本からは遠いイメージがあると思うが、実は航路的には一番近いヨーロッパなのだ。FINNAIRやスカンジナビア航空で北欧の主要都市から乗り継ぐことも可能だし、他のヨーロッパ主要都市から直接スタヴァンゲルへ乗り継ぐこともできる。
スタヴァンゲルの美しい港。
プレーケストーレンは5月から9月頃の限られたシーズンしか観光することはできない。
まずは、スタヴァンゲルの港からフェリーに乗ること30分ほどで対岸のタウの港へ渡る。
そこからローカルバスで40分ほどでその麓まで行く。バスの本数は少なく、人気も少ない。
それから2時間半、山道を登らなくてはならない。自分が行ったのは5月初旬の、正式にはまだ山開きをする前で、山道には雪がかなり残っており、途中急な山道もあって、当時8歳の下の娘には結構苛酷な行程であった。
まだ氷がはっている。
最初は緩やかな登山道を上っていく。徐々に気温が下がり、雪道となる。
途中で一休み。ふと後ろを振り返るとフィヨルドの景色が広がる。
後半は結構きつい道のりが続く、満足げに下山してくる人達を頼りに、ただただ黙々と上っていく。少し先から歓声が上がった。ゴールは近いらしい。
そして登り切った後、こんな絶景が顔を出した。これがフィヨルドというものなんだと改めて認識した。
その直ぐそばに、お目当てのプレーケストーレンがあった。
フィヨルドに突き出た断崖絶壁で600メートルの高さがあるそうだ。
周りに柵など何も無いというのには本当に驚かされる。自分は高所恐怖症なので、なかなか近づくことが出来ないのだが、このプレーケストーレンの上で皆、様々な行動を取る。
今にも飛び降りそうな人、
なにげに足を投げ出して座る人。
腹ばいで下をのぞく人。etc...
我が家族も平気で腰を掛けている。自分には絶対出来ない芸当で、DNAの進化を感じる
このプレーケストーレンからみたリーセフィヨルドの景色はこの旅で一番の景色であった。
最後に勇気を振り絞って、夫婦で一枚。
そんなこんなで、ここで1時間ほどを過ごして下山する。雪の残る山道の下山は結構大変であった。この様にプレーケストーレンの観光には丸一日を要し、最低でも2泊が必要になる上に、登山が大変と言うこともあり、なかなか一般の観光コースには入ってこない。絶景とは概ねそんなところでしか見ることが出来ないように思う。本当にここだけを見に行っても価値のある景色だと思う。
次回は船から雄大な景色を眺めるガイランゲルフィヨルドと、何とも可愛いオースレンの街を紹介する。
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