院長のコラム

“ドクトル・イトウの地球の果てまで“ 世界60ヶ国以上を訪れた、院長のちょっと変わった見聞録

第4回 命の水(スーダン):人道支援に関わって

 今回は少し真面目に、アフリカ諸国など途上国への"援助"について書いてみたい。アフリカでは欧米先進国が競って援助合戦を繰り広げている、最近では中国も加わり熾烈な競争だ。スーダンにも人道支援を職業とする世界中のNGO(非政府組織)が事務所を構えていた。中でも、特にヨーロッパ諸国は積極的に援助していた。
 かつて、アフリカの人的資源(奴隷)、天然資源を好き勝手に搾取したのがヨーロッパ人。その後、彼らが勝手に決めた国境線によって、アフリカは部族間の民族紛争を繰り返す。そのヨーロッパ人が今、施しのごとくせっせと人道支援を行っている。第三者であるアジア人の目から見ると、"富の循環"のように見える。
 自分はスーダンで"草の根支援"という日本政府の小規模な人道援助にかかわらせてもらった。費用対効果が大きく、できるだけたくさんの人々がその恩恵に授かることができる支援、そういったプロジェクトを探して援助するのがこのプログラムである。では、実際にどんな援助がおこなわれていたのかを紹介したいと思う。
 今のアフリカで最大の課題は「水と教育」であり、この二つは非常に密接に関わっているのだ。国の発展に不可欠であるのは教育であることに違いない。AIDS問題も、教育が行き届けば改善はするであろう。
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 スーダンの地方では飲み水の確保が非常に困難かつ重労働だ。片道何時間もかけて水くみに行くことも珍しいことではない。しかもその作業は主に女性と子どもが担っている。水汲みのために一日の大半を費やし、学校に行くことができず、職業を身に付けることもできない。
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 井戸を掘り、安全な水源を確保することは大事な支援だ。井戸と言っても200メートル近く掘る"深掘り井戸"で、そのまま飲めるようなきれいな水が得られる。
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 写真は難民キャンプに掘られた井戸で、ロバ車にドラム缶を積んだ給水車が集まってくる。
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 見てみると、皮肉にも自宅の水道水よりきれいな水だった。
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 ただし、こういった大がかりな井戸は、何処でも、簡単にいくつもというわけにはいかない。また、汲み上げポンプが故障したら、次の援助を待つのみであろう。そこで、より現実的でユニークな援助をいくつか紹介する。
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 このコンクリートでできたポットのようなものは、簡易浄水器だ。
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 この中に砂や土を入れて、貯めた水を濾過するのだ。
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 次に、これは水汲み作業を効率的かつ勘弁にするために、水のポットをボール型にして、そのまま転がして大量の水を楽に運べるように考えられたものである。両者とも非常に安いコストで、かつ材料は現地調達できる。単純でも、こういった現実的な援助が実際には役に立つ。

 次回は、アフリカならではの楽しみ"サファリ"を紹介する。

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